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第7回学生研究発表会

若手の会 第7回学生研究発表会
オンライン開催(2022年3月10日(木)10:00〜)


開催趣旨:
 日本応用数理学会若手の会では、主に修士・学部の学生さんを対象に、通常の学会では発表できないような研究途上の研究を喋ってもらう研究会を開催します。卒業論文を終えたばかりの学部生やちょっと良いアイデアを思いついた大学院生が、発表経験を積んだり、他の研究者の意見を聞けたりするような気軽な場にしたいと思っています。今年度は気鋭の若手研究者の方をお招きし、皆さんのモチベーションアップの機会を提供できたらと思っています。

 また、特定の分野に限らない分野横断的な会です。他分野や他の大学の同年代の方たちとの、良い交流の機会となることを期待します。そして3月10日は応用数理学会研究部会連合発表会後です。連合発表会にご参加の方にも、是非、足を運んで頂けましたら幸いです。


講演申し込み
2022年2月25日(金)までに ,Google フォームより講演情報を入力してください.
※ 応用数理学会 会員でなくても講演可能です.

講演時間:
15分以上(質疑応答込み)を予定してます。

参加申し込み
本会にご参加いただける方は,こちらよりお申し込みください.
※ 応用数理学会 会員でなくても参加可能です.


注意事項:

  • 各講演は15分(質疑応答込み)です。当日、8分で1鈴、10分で2鈴(講演終了)、15分で3鈴(質疑終了)とします。
  • 講演数が多く時間がタイトなため、時間厳守でお願いします。
  • 講演者は休憩中に画面共有のテストを必ずしてください。
  • 聴講者は基本的にマイクをオフにして雑音が入らないようにご協力ください(ビデオは任意とします)。
  • 質問がある場合は、チャット欄に「質問があります」とコメントいただき、座長に指名されたらマイクをオンにして話し始めてください。

特別講演

  • 講演者:包含(東京大学・RIKEN AIP)
  • 講演タイトル:学習基準と評価基準の差を探る
  • 概要:
    機械学習は近年様々な領域において大きな成功を収めている一方で,ロバスト性や公平性といった予測の信頼性に関する問題が次々と報告されている.こうした問題は予測性能が非常に高いモデルや訓練手法においても見られている.本講演では機械学習アルゴリズムの学習基準と学習したモデルの良さを特徴づける評価基準の差異に着目する.この両者を明確に区別することで,アルゴリズムによる予測が我々の期待する性質を持つかどうかを検証し,また目的に応じて適切な学習基準を設計することを目指す.具体的には我々が最近行った敵対的ロバスト性や類似度学習に関する研究結果の紹介を行い,学習基準と評価基準の差を通じて信頼性の高い機械学習を実現する方法に関して議論する.

プログラム

・9:30      Zoomセッション開場
・9:40      オープニング (友枝明保)

セッション1(座長:山中卓)
・9:45ー10:00 ○松田直也(法政大学),安田和弘(法政大学)
[題目] ソルベンシーIIにおける最小二乗モンテカルロ法を用いたリスク計算
[概要] 保険会社は,ソルベンシーIIと呼ばれる規制制度に基づいて,損失をカバーするための自己資金を保有することで,保険を契約している人等を守る必要がある.その算出に確率論的手法が用いられる.ここでは,将来の自己資金を求めるための条件付期待値を近似する方法として,最小二乗モンテカルロ法と呼ばれる方法を用いる.そこで先行研究で調べられている関数以外も用いて実験を行うことで改善点や特徴等を調べることを目的とする.

・10:00ー10:15 ○朝賀弓就(法政大学), 安田和弘(法政大学)
[題目] 確率を歪ませた離散時間モデルにおける経路依存型オプション価格算出
[概要] 本研究ではオプションの価格付けについて取り上げる.原資産価格の変動の確率に注目し,想定される確率よりもリスク回避的に確率を歪めることで,理論上では一通りの価格で算出されるオプション価格を二通りの価格で算出する.二通りの価格とは,売値と買値である.実験として,ヨーロッパ型オプションの価格と様々な経路依存型オプションの価格を算出して比較し,確率の歪みやパラメータの影響について考察を行った.

・10:15ー10:30 〇伊藤翼(法政大), 安田和弘(法政大)
[題目] 恒久的・一時的マーケットインパクトと取引コストを考慮した最適執行問題に関する数値的考察
[概要] 本研究では,恒久的・一時的マーケットインパクトと取引コストを考慮した保有株の売却に関する最適執行問題について確率制御理論を用いて考える.値関数や最適戦略は動的計画原理を用いて導出されるHJB方程式を解くことで得られる.得られた最適戦略の性質を知るため,売買シミュレーションを行った.また,パラメータが値関数や戦略にどのような影響を与えるのかを調べるために感度解析を行った.これらの数値実験結果を紹介する.

[講演キャンセル]・10:30ー10:45 ○岩本晴道(鳥取大),本山裕一(東京大),吉見一慶(東京大),星健夫(鳥取大)
[題目] 並列化モンテカルロ法によるベイズ推定と全反射高速陽電子回折への適用
[概要] 我々は,汎用な実験データ解析フレームワーク「2DMAT」を開発・応用している.本講演では2DMATを用いて,並列化(レプリカ交換)モンテカルロ法によるベイズ推定法を,2次元的(原子数層の厚さしかない極薄膜)物質むけの革新的構造測定法である全反射高速陽電子回折へ適用した.ベイズ事後確率分布(ヒストグラム)により,大域解・局所解のみならず,高次元データ空間における異方的不確かさを得ることができた.

・10:45ー11:00 〇堀篤史(京都大学)
[題目] 2段階分布的ロバストCournot–Nash均衡問題と均衡解の存在性
[概要] 2段階確率Cournot–Nash(CN)均衡問題はオペレーションズ・リサーチの分野で近年注目を集めている不確実性の下での非協力ゲームである。従来の2段階確率CN均衡問題の研究はモデルに現れる確率変数の確率分布は既知と仮定していたが、現実では分布が正確に推定できないことがしばしばある。本研究では分布不確実性を考慮した2段階分布的ロバストCN均衡問題を提案し、その均衡解の存在性を明らかにする。

・11:00ー11:15 ーーーーー 休憩 ーーーーー

セッション2(座長:高安亮紀)
・11:15ー11:30 ○磯部伸(東京大),奥村瑞歩(東北大)
[題目] 深層学習の, 微分方程式論および数値解析学によるある見方について
[概要] 深層構造をODE,学習を変分問題と捉えて深層学習を解析学的に研究する立場がある. 講演者らは,そこに「運動論的正則化 (kinetic regularization) 」を導入することで,深層ニューラルネットワークや,その学習の理論的・数値解析的な安定性を研究している.この観点から,“平均場ゲーム”という変分問題の近似として,深層学習を理論的に捉えることの可能性や有用性について議論したい.

・11:30ー11:45 ○中本幸佑(芝浦工業大学), 石渡哲哉(芝浦工業大学)
[題目] Batch Normalizationと活性化関数に関するニューラルネットワークの学習の安定性における考察
[概要] 深層のニューラルネットワークモデルの学習を安定化させる工夫の1つとしてBatch Normalizationが知られていて現在広く用いられているが、これが機械学習モデルに及ぼす効果についての数理的な理解はまだあまり進んでいない。本発表では、数理的な考察を与えることを目的として、損失に対し変動量を導入し、変動量と損失関数の推移を観察した結果を紹介する。

・11:45ー12:00 北野智也(大阪大学), 宮武勇登(大阪大学), 降籏大介(大阪大学)
[題目] 解釈性の高い高速なトピック解析に向けて
[概要] 大量の文書データに含まれる話題を推定するトピック解析分野で利用されてきた従来のモデルは, 高い性能を誇るが, 多大な計算コストを要する. 近年, 深層学習分野との融合により, トピック解析の高速化が期待される一方で, 安易なモデル改良は性能を損なう危険を孕む. 本発表では, モデル内のデータ利用箇所を増やすことで性能向上を図ったモデルを数値実験結果と共に紹介し, 現状の課題点を明らかにする.

・12:00ー13:00  ーーーーー 休憩 ーーーーー

特別講演(座長:宮武勇登)
・13:00ー14:00 包含(東京大学・RIKEN AIP)
[題目] 学習基準と評価基準の差を探る
[概要] 機械学習は近年様々な領域において大きな成功を収めている一方で,ロバスト性や公平性といった予測の信頼性に関する問題が次々と報告されている.こうした問題は予測性能が非常に高いモデルや訓練手法においても見られている.本講演では機械学習アルゴリズムの学習基準と学習したモデルの良さを特徴づける評価基準の差異に着目する.この両者を明確に区別することで,アルゴリズムによる予測が我々の期待する性質を持つかどうかを検証し,また目的に応じて適切な学習基準を設計することを目指す.具体的には我々が最近行った敵対的ロバスト性や類似度学習に関する研究結果の紹介を行い,学習基準と評価基準の差を通じて信頼性の高い機械学習を実現する方法に関して議論する.

・14:00ー14:15  ーーーーー 休憩 ーーーーー

セッション3(座長:井元佑介)
・14:15ー14:30 ○織田遥向(東京大学)
[題目] パーシステントホモロジーによる図形の数え上げ
[概要] 本発表ではパーシステントホモロジー(PH)による図形の数え上げ手法について議論する。特に医学技術に現れる図形を意識し、ノイズと重なりのある図形を扱う。まず、数え上げ問題の定式化のための定義を行い、それに基づき提示する数え上げ方法の正当性を示す。次に、数え上げ手法が機能していることをモデル画像で見る。さらに、PHに用いる複体の種類が数え上げに与える違いを議論し、医学技術への実用化について述べる。

・14:30ー14:45 ○竹田航太(京都大学),坂上貴之(京都大学)
[題目] 流体力学へのUQ的アプローチの事例紹介
[概要] 流体運動は非線形が強く数学解析・数値計算ともに難しい.初期値鋭敏性を含むカオス的なふるまいのため,気象予報など応用上での課題も多い.不確実性定量化(UQ)は流体力学におけるこれらの問題に対して,可能性のある解決策を提案できる.本講演では(A) 非粘性非圧縮定常流のHMCによるモンテカルロ近似と(B) 観測値のトポロジー情報から状態を推定するトポロジカルデータ同化理論という2つの事例を紹介する.

[講演キャンセル]・14:45ー15:00 ○田中竣(大阪大学)
[題目] 肺癌miR-451と数理モデル
[概要] microRNAはゲノム上にコードされ、他の遺伝子の発現を調整するという生命現象において重要な役割を担っている。肺非小細胞癌について、肺癌と非腫瘍部とを検討すると癌では非腫瘍部に対してmiR-451の発現が低下していた。本研究の目的は、miR-451を含んだ数理モデルの構築により癌が発現する条件を解析することである。

・14:45ー15:00 水戸岡拓海(明治大)
[題目] 毛細管現象の数理解析
[概要] 毛細管現象とは,毛細管内の液体が表面張力によって壁際で上昇・下降する現象である.それによってできた曲面のことをメニスカスと呼ぶ.メニスカスの形を決めるには接触角が重要になるが,接触角を直接求めることは容易ではない.本講演では,メニスカスの形を再現するために,ヤング・ラプラスの関係式から導出した方程式を,shooting法を用いて数値的に解く.その結果と実際の現象を画像で比較し,現象に適合した接触角を見つける.

・15:00ー15:30  ーーーーー 休憩 ーーーーー

セッション4(座長:安田和弘)
・15:30ー15:45 〇栗原空良(武蔵野大学),友枝明保(関西大学),高石武史(武蔵野大学)
[題目] 体の回転効果を取り入れた歩行者のシミュレーション
[概要] これまでに,群衆運動を数理モデルで記述した先行研究がおこなわれてきた.これらのモデルでは,他の歩行者と衝突しないための要素が取り入れられている.本研究では,歩行者の「肩」に注目し,他の歩行者と肩が衝突する際に体を回転させるだろうという考察のもと,体の回転効果を微分方程式で与えることを考えた.この改良したモデルと既存のモデルについて,歩行者のふるまいを比較していく.

・15:45ー16:00 〇岡野桃子(武蔵野大学),友枝明保(関西大学),高石武史(武蔵野大学)
[題目] AUTOを用いた追従モデルの分岐解析
[概要] 渋滞研究の一つとして追従モデルからのアプローチがある.追従モデルとは,車の個々の動きを表現する交通流モデルである.その中でもOVモデルは,加速度を最適速度と現在の速度の差で表現するモデルである.OVモデルは分岐解析により一定の密度になると分岐が起こり,双安定が現れることが知られている.本研究では,分岐解析ソフトであるAUTOを用いて最適速度関数を変更したときの分岐解析を行う.

・16:00ー16:15 太田舜(明治大)
[題目] 摩擦力を考慮した最速降下線問題について
[概要] 古典的な最速降下曲線の問題に対して,その解はサイクロイド曲線になることが知られている.しかしこの問題では粒子が滑る際に生じる摩擦力については考慮されていない.本講演では,クーロン摩擦を考慮した最速降下線問題を考え,その解の導出方法や,得られた解について考察する.

・16:15ー16:30  ーーーーー 休憩 ーーーーー

セッション5(座長:佐藤峻)
・16:30ー16:45 ○志賀大知(芝浦工業大学), 石渡哲哉(芝浦工業大学)
[題目] 時間非整数階移流方程式に対する単調性保存スキーム
[概要] 移流方程式の時間微分に非整数階微分を導入した時間非整数階移流方程式は数値的に解く場合、適切に離散化しなければ数値解が不安定化する。そこで、本研究では安定化のため風上差分近似を適用し、その安定性と収束性を示した。さらに、風上差分スキームを高精度化したときに現れる数値的振動を抑える(ある種の解の単調性を維持する)非線形スキームを導出した。

・16:45ー17:00 星野秀朋(早稲田大学),米田元(早稲田大学)
[題目] Einstein方程式の拘束条件の保存性に着目した数値計算法について
[概要] 一般相対論の基礎方程式になっているEinstein方程式は拘束条件付き時間発展方程式であり,強い対称性などの条件を課さなければ厳密解を得ることが難しい.そのため,数値計算により数値解を求める必要があるがEinstein方程式の拘束条件はfirst-class constraintであり,拘束条件のエラーが指数関数的に増加し,計算が破綻しやすいということが知られている.本研究では拘束条件がなるべく高い精度で保たれるような数値計算法について考える.

・17:00ー17:15 〇高橋和暉(筑波大学)、高安亮紀(筑波大学)
[題目] Julia言語を用いた常微分方程式の周期解の精度保証付き数値計算
[概要] 精度保証付き数値計算とは、数値計算の誤差を厳密に評価し、数学的に厳密な結果を導く手法である。本研究では、Julia言語を用いて、van der Pol方程式の周期解の精度保証を行う。具体的には、周期解をフーリエ級数で近似でし、フーリエ係数に対する零点探索問題を考えることでニュートンカントロヴィッチ型定理の成立を数値検証する。

・17:15ー17:30 近藤慎佑(筑波大学)、高安亮紀(筑波大学)
[題目] Julia言語を用いたChebyshev補間とその応用
[概要] 本研究ではJulia言語を用いてChebyshev補間を考察する。Juliaは計算速度が速い、オープンソースコミュニティで急速に発展しており、誰でもどこでも開発に参加できるといった特徴を持つ。Chebyshev補間とは、Chebyshev点と呼ばれる標本点上での補間によって関数を近似する多項式補間の一種である。一般にChebyshev補間を行う際、関数の十分な近似値を与える多項式の数は自明でない。本研究では適切な多項式の数を自動決定する方法を考え、Juliaを用いた実装を紹介する。

・17:30      クロージング(山中脩也)


問い合わせ先高安亮紀(筑波大学)

世話人
高安亮紀 (筑波大学)
宮武勇登 (大阪大学)
安田和弘 (法政大学)